「無償の愛」

 

ある朝、たかしくんはごはんのとき、お母さんのお皿の上に一枚の紙切れをのせました。お母さんはそれを読みました。たかしからお母さんへの貸し。おつかいちん20円・おそうじ代10円・べんきょうをしたごほうび20円。ごうけい50円。

 

それは、おかあさんへのせいきゅう書だったのです。でもお母さんはすこし笑っただけで何も言いませんでした。

 

夕ご飯の時です。たかしくんのお皿の上に一枚の紙切れがおいてありました。紙の上には50円玉がのっています。たかしくんはやったぞ、と思いながら、紙に書いてある字を読みました。お母さんからたかしへの貸し。病気をしたときのお世話代0円・服や靴やおもちゃ代0円・ご飯代0円。合計0円。

 

読み終わるとたかしくんの目は涙でいっぱいになりました。『おかあさん。50円はいらないよ』といいました。」

 

 

「学級爽快」 下野新聞社より